独立して2年以上が経ち、少しずつ自分の仕事の仕方が確立されてきました。 その中でやっていて一番楽しく、やりがいを感じる事がBtoBプロダクトのプロトタイピングです。
おそらく今後、自分の事業の柱になっていくと思います。
プロトタイピングの目的
プロトタイピングを行う目的として2つあると思っています。
- 需要やペインに対しての解決策なのかの確認。
- プロダクトの方向性の確認。
自分はこの2つが終わる事が本制作に入る道筋だと思っています。
基本的に企画者は自信があるので、**「需要なペインの仮説は立てるが検証をしない」**人が本当に多いです。 なので小さくスタートして小さく失敗を繰り返すことをオススメしています。
特に見た目や体裁に拘り、本来の目的から逸脱した部分にお金と時間を投資してしまっては本当にもったいないです。
少し厄介なのがプロトタイピングをしなくてもうまく行くプロダクトがあるという事実です。そういうプロダクトは外れ値みたいなものなので、それを基準にすると言う事は、個人投資で10億勝った人がいるから自分も5億くらいなら勝てると思ってるくらい夢みがちな事だと思っています。
プロトタイピングの進め方
1. ヒアリング
まずは話を聞きます。実際には何も作らずツールを紹介して解決することや、今はアプリを作っても費用対効果が悪いなのどの話も多々あります。その場合は一切お金は頂いてません。
社内アプリの場合、そもそも社員のリテラシーはどうなのか?低い場合はどのようにしてリテラシーを上げるのか、もしくはリテラシーを極力上げずに済む方法を考えます。
2. 解決案を作成
ヒアリングした内容とクライアントのイメージから、こちらでアプリケーションの手書きのイメージを作成します。
絵なんて下手でも自分とクライアントに分かればいいので、スピードが命です。
何度かやっててわかったのですが、この段階でクライアントがこちらの案を正しく理解している事は少ないです。なのでプロダクトの方向性の確認のためにさっさと試作に入ります。
3. コア機能の切り出し
いきなり全部作っても大変なのでコア機能を切り出します。 このプロダクトのメイン機能です。
クライアントは本プロダクト全てにオリジナル性があり、全てがコア機能だと思ってしまう事があります。
これが解決できればサービスとして成立するであろうというものだけに絞ります。
4. コア機能のみの試作品の作成
言わばα版にも満たない状態のものです。
プログラマーなのでデザインツールやプロトタイピングツールは一切使いません。コードを書いた方が早いです。
アプリの場合はReact Native、Webの場合はNext.js + Vercelとかでそれっぽく見えるものを1週間以内で作ります。
外部APIで申請が複雑な場合はダミーの固定データ、DBはFirestoreなんかで対応します。
正しいデータはこの段階だと必要ありません。現場の人が使って本当に効率化できそうか、迷わないかの方が大切です。
5. 現場テストとヒアリング、プロダクトのアップデートの繰り返し
できたものを持って現場へ行き、実際に使ってる現場の方の声をメモしたり、録画したりします。
「使っている最中にいろいろ聞いてしまいますが、よろしくお願いします」と断ってから以下のことをよく聞きます。
- 今は何をしようとしてますか?
- 何に迷っちゃいましたか?
- 本当はどうしたかったですか?
ここで上がった意見を参考に少しずつアップデートし、現場テストとヒアリングを繰り返します。
過去にこの段階で、コア機能よりも現場が困っている事が出てきたこともあり、制作の優先順位が変更された事があります。現場のペインは管理者とは違った良い例です。
大切にしてること
要望通りのプロダクトは作らない
自分は問題を解決したいのです。クライアントを満足させたいのではありません。
企画よりもプロダクト
企画というのは絵に描いた餅です。あくまでも絵としての価値しかありません。
美しいデザインは重要だが、需要が高いプロダクトに限る
デザイン軽視しているわけではなく、そもそも需要のあるものであれば多少デザインが崩れていてもユーザーは使います。この段階の美しいデザインというのはどちらかというとクライアントの見栄である事が多く、プロダクトの良し悪しに影響する事は少ないと考えています。
スピードに勝るものはない
Webやアプリの良いところはリリース後にアップデートできること。はじめから完璧なものを作らなくてはいけないプロダクトとは違います。 早く失敗する事が目的と言っても過言ではありません。